服を買えって言われた

ファッションに興味がないわけではないけれど、何かと優先順位が落ちてしまうが故に服を買うことがあまりない。たまに気に入った服に出会えたとしてもそのときの精神状態によって買うことを躊躇ってしまう。さらには妻が好きなタイプの服装と私の好みが違うので、自分の好きな服装をしたいと思いつつ妻に気に入ってもらいたいという気持ちもあるので、それもまた服を買うことを躊躇させる原因となっている。

流石に数年服を買っていなければ、自分の年齢もそこそこおじさん寄りになってきたこともあり、昔から来ている服もくたびれて、流石にこのままではいけないという話になった。

「30代 夏 ファッション」検索。

夏はどうしても短パン小僧か虫取り少年にみたいな格好になってしまっていたけれど、基本のスタイルは変えなくても組み合わせ次第でおしゃれに見えたりする。とりあえずYoutubeで勉強してユニクロで数点アイテムをゲット。結局ユニクロだけどこれでなんとか外を出歩ける。

月数千円くらいでそれなりに見えるような格好ができるのであれば、この投資はそんなに悪いもんじゃない。今更ながらファッションの楽しみに気づきたような気がする。

じいちゃんに会ってきた

じいちゃんには5年前に兄が自分の子供をお披露目に行ったときについでに私も行ったのが最後で、そのあとはコロナとか自分にも子供が生まれたりいろいろあってずっと会えなかった。ようやくコロナも収まってきたし、じいちゃんが施設に入ったとか入院したとかそんな話を聞いてこりゃもう今会っとかないとやばいなと思ったのがきっかけ。

五年前には地酒を今の妻(当時はまだ結婚してなかったけどほぼ結婚が決まっていたのでついてきた)と一緒にじいちゃんと浴びるように飲んで意識が朦朧とする中でこいこいをした思い出がある。そんな日々を思い浮かべながらなんの覚悟もなくじいちゃんに会っていたら結構ショックを受けただろうな。

じいちゃんに会う前日、叔父さんからこれが1年前の写真といって見せられたじいちゃんの姿は私の記憶の中のじいちゃんとほとんど変わっていなかった。覚悟していけよと念を押された。

次の日病院について受付を済ませて、病室へ向かう途中に看護師のお兄さんにマスクを渡された。かれこれ半年ぶりにマスクをした。どうせなら素顔でじいちゃんに会いたかったけどしょうがないと思いつつ病室に入った。

すやすや寝てた。

たしかに1年前の写真とは全く違うし、声をかけても返事もなければ、でかでかと食事禁止中の張り紙がされていて、生きているのか生かされているのかわからないような状態だった。

でも気持ちよさそうに寝てんだわ。

骨と皮だけかと思うくらい痩せてるし、歯もほとんどなくなってるんだけどちゃんとじいちゃんだった。

そもそも話すことがあまり得意じゃない私は特に何かを伝えるわけでもなく、久しぶりだねぇなんて独りごとのようにしゃべりかけては反応がないことに少しだけショックを受けていた。

会わなかった5年間で僕には二人の子供ができて元気にすくすく育ってる。コロナのせいで子供は面会禁止になっていたので連れてこれなかったのは残念だけど多分わたしが子供の時と同じくらいはちゃめちゃで元気だよ。

いっぱいおもちゃ買ってくれた。

でっかいかまくらを作ってくれた。

スキーを教えてくれた。

こいこいも教えてくれた。

謎のボードゲームもいろいろやった。

小さいころのこと、いろいろ思い出した。

わたしのことが見えてるのか、見えていたとして私が私であることを認識してくれているのかは分からないんだけど、じゃあまたねってしたときに少しだけ手を動かして反応してくれた気がした。